蝉しぐれを聴く

 

 


解説

 今年は冷夏だったせいか、蝉の鳴き声をあまり聞きませんでした。じりじりと焼けるような夏の日に、沢山の蝉の鳴き声が一つになって耳鳴りのように聞こえるのは、盛夏を代表する懐かしい音だと思います。蝉しぐれは、子供時代の夏休みを甦らせてくれます。この絵も、そんな昔の風景を思い出しながら描いたものです。絵の題材にしたのは、「皇居東御苑」にある江戸城の名残の建物です。どこか田舎の山奥のようですが、こんな風景が東京の中心部にもあります(構図上の工夫も加えてあるので、実際はこの通りの景色ではないのですが…)。
 この絵では、夏の日差しをどう表そうか、色々悩みました。前景の色合いとか、太陽光線を通して見た背景の森の描写とか、幾つかのアイデアを試みた結果、最終的には、屋根の白さと、建物の左奥の明るいスポットで太陽光線を表現することにしました。こういう試行錯誤は、CGだからこそ出来る試みで、絵を描く者にとって大変勉強になります。
 ところで、今になって思い返してみると、私が子供の頃は、今のようにゲーム機だの精巧なおもちゃだのはありませんでしたが、何故かとても幸せでした。今でも夏になると、あの夏休みの日々を思い出します。時は過ぎ子供の遊び方もすっかり変わりましたが、あの蝉の鳴き声は、昔も今も変わりません。

 

参考データ 

 ホームページ掲載:2003.8  使用ソフト:Paint Shop Pro 7J & 8J  タブレット:Wacom Intuos  原画サイズ:1035×795ピクセル


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