トンボ



 

 

解説

 その日は、朝からうだるような暑さでした。涼を求めに、朝早く「小石川後楽園」まで出掛け、池沿いの道を散歩しました。途中池に架かった橋の上から見ると一面にハスの葉が広がり、きれいな花も咲いていました。この花を絵にしようかと考えているところに、どこからともなくトンボがスーとやって来て、滑るようにハスの葉の上を飛んでいきました。私は何故か懐かしい気持ちになって、トンボを目で追いかけました。
 トンボが行ってしまうと、ハスの花を描こうという気持ちよりも、どこへともなく飛び去ったトンボのことの方が気になって、こちらを題材に絵を描きました。トンボの肢体は実際の色より鮮やかに塗りました。その方が、何となくトンボを見たときの爽やかな気分に近いような気がしたからです。
 チョウチョウがフワフワと視界の中で飛び回っているのと違って、トンボはどこからともなくやって来て、スーと視界から消えていきます。そのスピ−ド感とスマートな肢体は、子供心にどこか憧れるものがありました。ハスの葉の上を駆け抜けて行ったトンボを見て、ふと子供の頃の夏の日を思い出しました。

 

参考データ 

 ホームページ掲載:2002.8  使用ソフト:Paint Shop Pro 7J  タブレット:Wacom Intuos  原画サイズ:1035×795ピクセル

 

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