遠い日、あの夕暮れ
解説
秋は夕焼けのきれいな季節です。同時に、秋の夕焼けは、どこかしら郷愁を誘うような淋しげな風情があって、何とも味わい深いものです。過ぎ去った夏への郷愁、子供時代の思い出、遠い故郷への追憶・・・。この作品は、そうしたもろもろの思いを、一本の大木に託して制作したものです。
夏にはたくさんのセミが取り付き、うるさいほどの鳴き声を響かせていたのがまるで嘘のように、ひっそりと静かな夕暮れを迎えようとしています。この木も、やがて冬が来れば葉が落ちて裸の枝となる運命にあります。生きとし生けるものは、時の流れとともに全て流転して姿を変えていきます。そうした季節の変化の予兆を木に託して、さりげなく表したかったのです。
モデルとなった木は、荒川の川べりにあったもので、枝振りがなかなかきれいだったため、描くときの参考にさせてもらいました。あの木も、秋の深まりとともにやがて色づき、木枯らしの吹く頃にはすっかり葉を落とすのでしょう。
参考データ
ホームページ掲載:2006.9 使用ソフト:Paint Shop Pro 9J タブレット:Wacom Intuos 原画サイズ:1035×795ピクセル
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