時の記憶
解説
ここ数ヶ月多忙な日々が続き、季節の移り変りもじっくり観察することなく毎日が過ぎて行きました。そんな休日のある日、散歩がてら公園まで出掛けて園内をそぞろ歩いているうちに、公園管理事務所の傍らに忘れ去られたように放置されていた鉢が目に留まりました。
形もいびつな安物の鉢で、花が咲いているわけでもない、ごくありふれたものです。そんなところで立ち止まる人などいないのですが、私は妙に気になって暫しそこに立ち尽くしました。
見ているうちに何かうらやましさのようなものが湧いて来て、見とれてしまいました。時が過ぎてもそのまま変わらずに存在し続ける素朴な鉢植えに、ふと小林秀雄の「無常といふこと」を思い出してしまい、あまり絵の題材にふさわしいとも思えないのに、作品に仕上げてしまいました。表面的な出来上がりと、そこに込めた思いの乖離が、これほど開いている作品も珍しいかもしれません。
参考データ
ホームページ掲載:2006.4 使用ソフト:Paint Shop Pro 9J タブレット:Wacom Intuos 原画サイズ:1035×795ピクセル
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