ほのかな光
解説
この絵は、如何にも何かを象徴して想像で描いたように思われるかもしれませんが、実はモデルとなる風景があります。
文京区に住んでいた頃、近くに水戸徳川家の庭園「小石川後楽園」があり、よく散歩に行っていました。ここには大泉水と呼ばれる大きな池があり、蓬莱島という島まで作ってあります。この大きな池の周りを回るように遊歩道がついているのですが、取り立てて景色もよくない地味な一画に、この小さな島があります。いや正確には、島と呼べるようなものではなく、浅瀬に岩が幾つか積んであり、そこに一本木が生えているだけのものです。
この小島が、庭の設計上当初から計画されて作られたものなのか、たまたま組み合わせた岩の上に種子が飛んで来てこんな景色が生まれたのか定かではありませんが、いずれにしても、庭園の片隅に、人知れずひっそりと存在する不思議な風景です。
ここを通る人のうち、一体どれくらいがこの岩場に気付いているのか知りませんが、日当たりの悪い場所にあり目立ちませんから、普通なら通り過ぎてしまうでしょう。しかし私は、由来のよく分からない、この不思議な小島が気に入っていて、一度途中まで絵に描いたのですが、イメージがまとまらずそのままになっていました。
今では練馬区に引っ越してしまい、「小石川後楽園」は少々遠くなってしまったのですが、先週、サイクリングかたがた光が丘公園に出掛けて、池でのんびり鴨を眺めているうちに、ふとあの小島のことを思い出しました。冬の朝の静かな池のたたずまいと、思い出した小島の情景が重なって、何となくイメージが湧き、長い年月を経てようやく作品を仕上げた次第です。
参考データ
ホームページ掲載:2005.1 使用ソフト:Paint Shop Pro 9J タブレット:Wacom Intuos 原画サイズ:1035×795ピクセル
戻 る | 先頭ページに戻る |
このホームページに掲載されている絵・文章などは、全て本ホームページ製作者に著作権があります。転載、コピー、加工、素材への転用などはお断りします。