御簾草
解説
御簾草は、「がまの穂綿」という俗称の方がはるかに馴染みがあると思います。私がこの「がまの穂綿」という言葉を知ったのは、幼い頃「因幡の素兎」(いなばのしろうさぎ)の伝説を聞いたときです。淤岐島(おきのしま)から因幡(今の鳥取県東部)に渡ろうとした兎が、鰐(わに)をだまして海に並ばせ、その背を得意げにぴょんぴょん跳ねているうちにうっかり口を滑らせてしまい、うそがばれて鰐に皮を剥がれるという話です。痛くて泣いていた兎のそばを通りかかった大国様(大国主神)が、「がまの穂綿」にくるまるよう教えたということになっています。ちなみに、どうして日本海に鰐がいるのか、子供心に不思議だったのですが、どうもこれはサメのことのようで、今でも中国地方では、サメを使った料理のことを「鰐料理」と呼ぶと聞いたことがあります。
しかし、この「がまの穂綿」に実際に出会ったのは、もっと後になってからで、小学校時代に町外れの川に友達と釣りに行った際、水際に生えているのを見つけました。これが「がまの穂綿」だと知った途端、幼い頃に聞いた「因幡の素兎」の話を思い出したことを覚えています。
その後長らく見ることのなかった「がまの穂綿」ですが、最近では公園の池の縁などに植えられるようになって、東京都内でも色々なところで見掛けます。私はこの草を見るたびに、「因幡の素兎」の話や子供の頃に行った釣りのことなど、懐かしく思い出します。
参考データ
ホームページ掲載:2004.9 使用ソフト:Paint Shop Pro 8J タブレット:Wacom Intuos 原画サイズ:1035×795ピクセル
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