初夏の汀



 

 

解説

  公園の池に睡蓮の花を見つけました。緑の湖面に黄緑の葉が浮かび、そこに白い睡蓮の花が咲いている光景は中々いいものです。
 睡蓮というと、モネの絵が思い浮かびます。モネの睡蓮の絵は沢山あるのですが、私が見た中で印象に残ったのは、ニューヨークの近代美術館にあるものと、パリのオランジュリー美術館にあるものです。両方とも、円形の部屋をぐるりと取り囲むように描かれた巨大なものですが、オランジュリー美術館の睡蓮が世界的には有名なようです。
 モネの睡蓮は、モネ独特の色彩のマジックがふんだんに盛り込まれ、様々な色が組み合わさって画面を形造っています。生涯をかけて色彩分割を追求したモネの目には、あんなふうに睡蓮の池が見えていたのでしょうか。天才のイマジネーションを感じることの出来る傑作だと思います。
 他方、私が描いた睡蓮は、もっと単純であっさりしたものです。最初は、緑一色の中に白い花という夏らしい画面にしたのですが、やや単調な観があったので、ちょっとした工夫として、枯れかけた黄色い葉を少しだけ取り込んで、画面に変化をつけています。これには効果が2つあって、1つは色に変化が加わること、もう1つは形にも変化が出ることです。
 黄色を入れるのも、目立つように入れては、全体の黄緑色の画面構成が壊れてしまうので、分かるかどうか微妙なタッチで入れています。こんな僅かなことでも、結構画面の雰囲気は変わるものです。
 形に変化をもたらすというのは、ちょっと分かりにくいかもしれません。実際に観察すると、枯れかけた睡蓮の葉の多くは、めくれあがったような形になって縮みます。この形が、円盤状の葉が連なる単調な画面構成に変化を与えてくれます。枯れかけた葉を少しだけ取り込むという僅かな工夫が、画面全体の印象を結構変えてくれるものです。



 

参考データ 

 ホームページ掲載:2003.8  使用ソフト:Paint Shop Pro 7J & 8J  タブレット:Wacom Intuos  原画サイズ:1035×795ピクセル

 

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