薄明に一人
解説
「たそがれ」とか「かわたれ」と呼ばれる時間帯があります。これらは古語で、「誰(た)そ彼(かれ)」と「彼(か)は誰(たれ)」という言葉が変化したわけですが、いずれも、戸外でちょっと離れたところにいる人の顔の見分けがつかないような薄暗さ、つまり夕暮れや明け方の時間帯を差しています。昔の人達は、こういう時間帯には妖しい魔物が人間界に忍び寄って来ると信じていたようですが、確かに、昼と夜の境目に生じるその薄暗さには、人を非現実的な思いに引き込む不思議な雰囲気があります。
この絵は、そういう薄暗さをテーマに描いたものですが、別に妖しい雰囲気を作りたかったわけではなく、そうした時間帯が持つ静謐や、人を引き込むある種の不思議な雰囲気を絵に出来ないか、と考えたものです。
この石垣は一体何か、と疑問を持たれるかもしれませんが、これは江戸城本丸の石垣です。皇居の一部ではありますが、簡単な許可証を門のところで貰えば、誰でもここまで登れます。登ってみて分かるのですが、江戸城本丸の床面積というのは、あまり大きなものではありません。しかも、4代将軍家綱の時代に「振袖火事」と呼ばれる大火で焼け落ちてしまって、その後は再建されませんでした。徳川幕府300年の大半は、江戸城に天守閣がなかったというのも、何やら不思議な気がします。
参考データ
ホームページ掲載:2003.2 使用ソフト:Paint Shop Pro 7J タブレット:Wacom Intuos 原画サイズ:1035×795ピクセル
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